家を建てる前に、擁壁&盛土について
先日、住宅の解体工事を施工させていただきました。
周囲よりも地面が低い土地でしたので、更地にしたあと盛土工事を行います。
順番としては、擁壁の設置→盛土で工事を進めていきます。
擁壁や盛土は、する機会も無く、馴染みのない方も多いのではないでしょうか。
今回は盛土工事の流れを、ざっくりとご紹介させていただきます。
擁壁の設置
最終的な地面の仕上がりのラインに合わせて、擁壁の高さを決めます。
高さに応じて、擁壁の厚さや底板の折り返し長さが決まります。
擁壁の高さが一定以上の場合は、自治体へ申請・許可が必要になります。
このあたりはケースバイケースです。
擁壁は長く使うことを想定しています。
造り方も、一般的なコンクリート造の建物と同じです。
鉄筋を組んで周囲を型枠で覆い、生コンを流し込んでいきます。
固まったら型枠を取り外して完成です。
盛土について
擁壁の設置が終わり次第、盛土を行っていきます。
使う土は山土や良質土が一般的です。
盛土工事のコストで最も高い割合を占めるのは土の購入費になります。
盛土では、ダンプで土を搬入して重機で転圧する作業を何度も繰り返していきます。
お見積の段階でも、転圧して締まる分の土量を見込んであります。
また、大雨が降ると細かい土の粒子が動くため土が沈下しやすいです。
年月が経ち、何度か降雨を乗り越えると、沈下が少なく安定するようになります。
盛土の地盤について
盛土層は支持力がありません。
つまり、重量のある住宅を建てる場合は、盛土だけで支えることができません。
解決方法は二つあり、
- もともとの地面まで基礎を打つ。※もともとの地面に必要な支持力がある場合に限ります。
- もしくは、地盤改良工事が必要になります。今回のように盛土層が1m以上になる場合は、地盤改良が必要なことが多いです。
地盤改良には表層改良・柱状改良・鋼管杭など、いろいろな種類があります。
それぞれ特徴が異なり、かかる費用も様々です。
どの改良方法を選ぶのかは、決まった基準はありません。
建物の重さと、地盤調査結果を踏まえて決定されます。
地盤調査
盛土をした場所に何かを建てる場合は、地盤調査を行いましょう。
住宅では一般的なスウェーデン式サウンディング試験や、
写真のような、より詳細にボーリングを行う標準貫入試験などもあります。
どのような建物を建てるかによって、選ぶ試験の方法も決まります。
危険な不動沈下を発生させないためにも、きちんとした調査が大切です。