外壁の通気は必ず必要!
外壁の構造
住宅の屋外と屋内を隔てる屋根や壁は、基本的に二重構造となっています。
外壁材や屋根材を一次防水、その下にある防水シート等を二次防水と呼びます。
一次防水は外から見ることができる仕上げ材のことを指します。
この防水二重構造は最近始まったわけではありません。
例えば築100年近い屋根でも、瓦を一時防水、杉の木の皮を剥いだものを二次防水として使用しています。
雨がかかるところは二重構造が基本となります。
店舗等の鉄骨造では、二次防水が無い単層構造の場合もあります。
その場合、雨漏りは明確に発生しやすくなります。
今回は、少し専門的な記事ですが、住宅の寿命と雨漏りを防ぐためには欠かせない内容です。
外壁通気工法
外壁では、一次防水にサイディングを使い、二次防水に透湿防水シートを使用します。
さらに、一次防水と二次防水の間に通気層を設けるようになっています。
これは結露対策のためです。
室内の湿気を屋外に逃がすことができないと、外壁内で結露が発生し、木材が腐ってしまいます。
一次防水と二次防水を間隔を空けて通気層を作り、空気の流れができるようにします。
ちなみに屋根の場合、一次防水に板金や化粧スレートを使い、二次防水はアスファルトルーフィングを使用します。
アスファルトルーフィングは透湿性はなく、湿気は通しません。
屋根は通気よりも、耐雨漏りの性能を優先しています。
もともとは、屋根だけでなく外壁もアスファルトルーフィングを使用していました。
しかし、住宅が高気密化したことで、湿気の逃げ道がなくなりました。
そのため、結露がひどくなり、現在では外壁のみ透湿防水シートを使い、かつ通気層を設けています。
一次防水と二次防水の間隔を空ける際には、通期胴縁を使用します。
胴縁は建築で最もよく使われる角材の一つです。
胴縁を貼ることで、その厚み分、通気層を設けることができます。
胴縁の貼る方向は、外壁材(一次防水)に合わせて、縦と横を選択します。
ただし、できれば通期胴縁は縦に貼った方が、通気効率は良いです。
風がなくても暖かい空気は上に向かうという重力換気を利用することができるためです。
上記の写真は、実際に透湿防水シートと通期胴縁を貼っている様子です。
通気層がないと・・・
特に冬季、外気に比べて室内の温度が高い場合、外壁の内側が結露します。
壁の中なので、室内からは見ることができません。
結露を繰り返すことにより、断熱材や木材の劣化が進みます。
断熱性や気密性が高いほど、結露は発生しやすくなります。
外壁工事をする際には、通気層をきちんと設けるようにしましょう。